Last Oath
「ひっまーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
「うるさい・・・。」
「ねー半兵衛暇だよ暇だよ暇だよー。」
「自分の部屋で暴れたまえ。僕の仕事の邪魔をしないでくれ。」
「なにイライラしとんの。」
「君がうるさいから。」
「だって。」
「だってじゃない。」
「なーんーでーよーもーー!!!」
「早く出て行ってよ。」
「話聞いてよー!」
「そんな暇ない。」
「・・んん゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
僕が冷たくあしらうと、はまるで恐竜のような声で何か叫んだ。
「・・・・まるで生まれたての恐竜だね。」
「ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
「・・・・もっと暑くなるからその声やめてくれないかい。」
「む゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
「・・・・・わかったよ何?;;」
が来てから、早くも三日が経った。
この暑い中、うるさいのは蝉の鳴き声で十分なのに、は毎日僕の部屋にこうして訪れてくる。
「んーーーー!!!!」
「どうしたいんだい?」
「かまってー!!!」
「仕事が終わったらね。」
「あとどれくらいで終わる?」
「さぁね。」
「んぐ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
「わ、わかったよ!!;;;」
一体どこから声出してるんだこの子は。
なんでこんなプテラノドンみたいな声出すんだ。
「公園作って。」
「公園?」
「滑り台とブランコと絶叫マシーン作って。」
「・・・・・・最初の二つはなんとなくわかるけど、絶叫マシーンって明らかになんか違うような気がする。」
「滑り台は滑れる台でブランコはブラーンってなって絶叫マシーンは絶叫するマシーン。」
「うん。そのままだね。」
作れといわれても、具体的にどういう構造か分からない。
第一そんなもの作れというほうがおかしい。
「・・・・君のバッグとやらで出すのが一番手っ取り早いんじゃないのかい?」
「早く言えよ。」
「・・・・・・・・・。」
自分で気づけといいたくなったが、絶対は聞く耳を持たないだろう。
何故自分はこんなことで頑張っているのだ。
「(・・・・眩暈が・・・)」
「うおでか。入るかな。」
「・・・この部屋に出すな。」
どこで絶叫する気だ。
「庭で遊んでおいで。」
「半兵衛もあとで来てねー!」
「はいはい。」
「うあー。」
そういっては部屋を後にした。
最後のうあーとはなんなのだろうか。
「・・・・・。」
自分は何故あんな変な娘を仲間に入れてしまったのだろう。
別に追い出そうと思えば追い出せるが、あの恐竜の叫びはもう聞きたくない。
「はぁ・・・・。」
官兵衛の言うことも一理あるかもしれない。
だがが間者なんてことないだろう。
あったら明らかに人選ミスだ。
というかミスどころではない。アホだ。バカだ。(酷
「はぁ・・・・。」
そろそろの絶叫でも聞こえてくるのではないか。
できればあの恐竜の声はやめてほしい。
「うあぁぐえあおおああああああああああああああ!!!!!!!」
ほらきた。
今のはなんだ。
恐竜ではなかったにしろ人間の叫び声ではなかった。
「はぁ・・・・、頼むから庭は壊さないで欲しい・・・・。」
僕は渋々、だるい体を叱咤して部屋の外に出た。
「・・・・・・・・・・・。」
怒る気にもなれない。
「あ!!半兵衛!!!」
そこには、可愛らしい滑り台と木でできたブランコと、城より少し小さいぐらいの馬鹿でかい絶叫マシーンと思われる物。
傍らにはぶっ倒れている久作。
恐らく道連れにされたんだろう。哀れな。
「大丈夫かい久作・・・。」
「・・・あにうえぇ・・・・・・・あんな恐ろしいものが世には・・・・うぷ・・・・」
「大体想像がつくよ。ほら、善左衛門のところに行っておいで。」
ふらふらと危険な足取りで、久作はその場を後にした。
「半兵衛も乗ろうよ!」
「いや、久作の二の舞になるつもりはないよ。」
「なんで?ブランコ乗ろうよー。」
あぁ、そっちですか。
この馬鹿でかいのはもういいのね。
「二人乗りしよう!!」
「はぁ・・・・。」
僕には遊んでいる暇なんてないのに。
だがこの一回で邪魔されなくなるなら致し方ない。
「わかったよ。」
「が立つから半兵衛座ってー。」
「・・・・。」
何だこれ。
めっちゃ恥ずかしい。
というかと近すぎるのが嫌だ。
こんなところを赤丸あたりにでも見られたら何を言われるかわかったものではない。
「・・・ねえ、これ一人で乗るものじゃないのかい?」
「やろうと思えば三人でも乗れる。」
「・・・・・・・。」
「じゃあこぐよーーー。」
少しずつ、このブランコとやらは揺れ出した。
・・・こんなのが楽しいのか。
「・・・うはははこんなのまだ序の口なのだよ半兵衛くんうはははは。」
「・・・・・。」
どうでもいいから早く終わらせろ、と僕は冷ややかに視線を送る。
「いっくぞーフラーイパーーーーーーン。」
「?ふらいぱん?・・・って・・・なにす・・・・ああああああああああああああああああ!?????!!!!」
ガシャン、と音を立てて、ブランコは傾いた。
宙に投げ出される・・・・!!
そう思ったが、次の瞬間には再びもとの状態に戻っていた。
地獄を見た・・・!!!!!
「だいにだーん!!」
「ま、まだやるの!?」
「フライパンーーーーー!!!」
「待ったそれはちょっともう駄目だよもうやめうああああああああああああああああああああ!!!!!」
今わかった。
久作がぶっ倒れていたのは、絶叫マシーンなんかのせいではない。
これが原因だ!!!!
「・・・・・・・もうやめ・・・・」
「まだまだー!!!」
「・・・・ゴホッゴホッ・・・」
「連続でフライパンーーーー。」
段々意識が遠退いてきた。
あぁもうだめだ。
「あああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
「なんか疲れてきたー!!」
そうだよもうやめようこれ以上やったらちょっと危ないよ。
「だからラスト一回渾身の力で究極のフライパンを半兵衛にお見舞いでござるでござるー!!!!」
「いらないいらないいらないいらないいらないいらなああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
僕は見事に、渾身の力で究極のフライパンをお見舞いされた。
気がつけば、そこは見慣れた天井だった。
どうやら善左衛門の医務室らしい。
「まったく兄弟揃って・・・・。」
僕が起きたことに気づいたのか、善左衛門が寝台の脇に入ってきた。
傍らにあった椅子に腰掛けると、ふぅ・・とため息をつく。
「・・・久作は・・・?」
「魘されておるよ。ふらいぱんがどうとかこうとか・・・・。ふらいぱんとはなんじゃろうな。」
「・・・・・・・・・・。」
やはりあの恐怖を久作も味わったのか。
「のせいでこの城の平穏が脅かされてるよ。本当に迷惑なものだ。」
「ん?じゃがあのお嬢さんが半兵衛どのをおぶってここまで運んできたのじゃよ。」
「え・・・・・」
僕はその言葉に、一瞬固まった。
「さっきまでずっとここで心配そうに見ておったよ。」
「・・・・。」
「自分のせいで半兵衛どのが死んでしまったらどうしよう、と。」
あんなののせいで死んでたまるか。
僕はそう言おうとしたが、が自分を背負ってここまで来るのが目に見えて、黙って苦笑した。
「は?」
「さぁの。半兵衛どのの部屋におるんじゃないかのう。」
「・・・じゃあ僕はこれで失礼するよ。」
「うむ。半兵衛どの。」
「・・・?」
「殿は可愛らしいですな。」
「フッ・・どこが・・・。」
僕はそう笑って、医務室をあとにした。
やけに廊下が静かだ。
の(恐竜の)叫びでも聞こえてくるかと思ったのだが。
「・・・?」
自分の部屋の襖をそっと開ける。
「・・・・。」
案の定はそこにいた。
自分の寝台でぐっすりと眠っている。
「・・・勝手に人の寝台に・・・・・。」
まったく・・と呟きながら、半兵衛は布団をそっとかけてやった。
「んぁ・・・?」
ぱち・・・とが目を覚ます。
まだはっきりと覚醒していないのか、ぼうっと半兵衛を見ている。
「・・・・ふー・・・・・・?」
「?」
のよくわからない声に、半兵衛は小さく首を傾げた。
そして次の瞬間、思い切りが抱きついてきた。
「!?」
「ただいまぁ・・・?」
「え、おかえり・・・?」
「あぁ・・・?」
「・・・・、しっかりしなよ・・・・。」
「ぇええ・・・・?」
「僕だよ。」
「ぼく・・・・、ぼく・・・・・。」
「半兵衛だよ。」
「はんべーーー・・・・・・・、はんべー・・・?あぁ・・・。」
はお前か、とでも言うように小さく頷いた。
「・・・・早く離れたまえ。」
「んー。」
はそう唸ると、気だるそうに僕から離れた。
「一体誰だと思ったんだい?」
「んー。」
「久作?」
「んー。」
「三成?」
「んー?」
「赤丸?」
「・・・・・うあー。」
意味がわかんない。またうあーか。
うあーっての中でどういう意味なんだろう。
「半兵衛、ごめんね。」
突然の謝罪に、僕は一瞬怯んだ。
「・・・・そう思うなら、今後僕の邪魔はしないことだね。」
本当は、いいよ、と言ってあげたかったのに、つい意地を張ってしまった。
「、邪魔?」
「・・・・・。」
そんなふうに純粋に聞かれたら、意地を張ることもできなくなってしまうではないか。
僕は返答に困った。
「いるだけなら・・、別に・・・・。」
「じゃあどうすればいい?」
僕は悩んだ。
普段何も考えてないくせに、は人を悩ませることだけは一流だ。
「わかった。じゃあ約束しよう。」
「待って。紙に書く。」
覚えようよそこは。
記憶力ないの?
「いいよ。」
「まず僕の部屋では必要最低限喋らない。」
「無理。次。」
え、何。
主導権握ってるのなの?
いやいや気のせいだ、そんなはずはない。
「・・・・無理な場合僕の部屋には入らな「無理。次。」・・・・・・・」
・・・なんで話遮るかな。
まぁ今にわかったことではないが。
「・・わかった。百歩譲って交換条件にしよう。」
「ふん。なんだ言ってみたまえ。場合によっては許してやろう。」
・・・こいつムカつく。
まぁこれも今更だけれども。
「僕が仕事をしている間は部屋に入らない。」
「やだっ!」
「でその間久作を自由に使っていい。」
「いいよっ!!」
「(・・・単純・・・)」
許せ久作。
僕の夢の為に。
「じゃあから一個!!」
「・・・・は・・・?」
「半兵衛が仕事するのは、太陽が沈むまでー。そんでが寝るまでの相手する!」
「やだよ・・・。」
「やだじゃない。決定―。」
「無理だって。」
「もう決定したもんねー。」
「・・・・・・・・。」
さようなら、僕の時間。
(ほんとは心のどこかで楽しんでる半兵衛)